海外ラリー用語辞典

以下は、私のただ一回のNEW ZEALAND RALLYの出場経験に基づいて書いています。内容の保証はしません。間違っていたらメールで教えてください。

現在、随時内容追加中。

Co-driver
コ・ドライバー。
俗に言う、ナビゲーターです。が、海外ラリーの場合、助手席に載っている人間は、道案内に比べ、ドライバーが速く走る事を助ける、という役割が重要になります。というより、ほとんどがそれ。そういう意味ではCo-driverの方がふさわしいのでしょうか。まあ、確かに航法士というより、戦闘員ではありますたまに、「キー」と叫ぶ所もどこかの戦闘員にそっくりです。って、俺だけ?)。
Competitor Information
競技者用通知。
Official Bulletinとの差はよくわからないが、どちらも重要なものである事は間違いありません。英語とフランス語で出されます。日本語訳も配られる事がありますが、公式なものではないので、英語も読んだ方が良いでしょう。誤訳があるとか言うわけではありませんが。
container
コンテナ。
車を船で運ぶ際にコンテナにいれて運ぶという方法があります。
オン・ザ・デッキに比べれば高いが、セキュリティも高いことは間違いありません。
コンテナの中には、当然車以外のタイヤ、部品等を積む事ができるので、やはり海外ラリーに行くのならこの方法を取るべきでしょう。ただし、コンテナそのものも船の中で揺れるので、車他をしっかり固定する必要があります。
Headquarter
競技会本部。
競技会のOfficial BulletinCompetitor Information、次の日のStarting Orderはすべてここで発表されます。したがって、ラリー開催中は毎夜ここに行き、翌日のスタート時刻を確認する必要があります。
Leg
レグ。
ラリーは、幾つかのLegに別れています。一般に1Legは1日です(今回は例外で、初日にはSuper Special Stageが1本だけだったので、初日と2日目が合わせて1Legでした)。
Legは、さらに幾つかのStageに別れています。
Official Bulletin
公式通知。
Competitor Informationとの差はよくわからないが、どちらも重要なものである事は間違いありません。英語とフランス語で出されます。
On the deck
オン・ザ・デッキ。
車を船で運ぶ際の方法の一つ。カーフェーリーのように車をそのまま船に載せ固定します。
コンテナを使う場合に比べ安くつくが、セキュリティは弱く、(積載物、部品等が)盗難に遭う可能性も高い。カーステレオ位なら取られてもどうって事はないが、代替不可能なスペアパーツを盗られると取り返しがつきません。僕は二度とこの方法は使いたくありません。盗られたものも痛いが、精神的ダメージが大きいからです。
Pace Note
ペースノート。
SS(Special Stage)のコース図の様なものです。コーナーの向き、角度、ストレートの長さ、その他の注意事項が書かれています。
ペースノート
NZではオフィシャルPace noteが配布されます。有力チームの、優秀なCo-driverはレキの際に0から起こすのですが、我々は今回は、配布されたものに修正、追加を加えると言う方法を取りました。配布されたものはそのまま使っても良いが若干の手直しはした方がよいかもしれません。
基本的に8段階、各段階の中間値(俗に言うコンマ5)ありで、実質15段階と言う所でしょうか。
Parc ferme
パルクフェルメ。車両保管所。
Leg終了後、次のLegまでの間(たいてい夜の間ですが)、車両は保管されます。この間は誰も車両に触る事はできません。この車両保管を行なう場所がParc Fermeです。
Reconnaissance
俗に言うレキもしくはレッキ、コース試走です。実際に走行するコースをオフィシャルの指定した時間に数回走行できます。Pace Noteの作成、チェック等を行います。練習ではなく試走なので、コース中には一般車も走行しています。また、コース内で警察がスピード計測をしている事もあります。もっとも、トップクラスの連中はかなりの速度で走っています。私達があるコースの後で止まっていると、警官がニコニコしながら話しかけてきて、"over a hundred-fifty guy"を捕まえたと言っていました。レキ車両を用意できればベストですが、借りると言う手も使えない事はない。ただ、普通レンタカー会社はレキに使用する事も禁止しています。跳ね石の跡はつくし、タイヤは異様に減るのでバレバレなので。それなりの対策をする必要があります。
Road book
俗に言うコマ図。
ラリー(国内、海外共に)では、俗に言う地図は使いません。距離と目印で走行します。そのための地図です。
ロードブック、その1
左から、前TCからのトータル距離、区間距離、形状、備考、次のTCまでの距離です。
TCの地点もすべて載っています。また、NZのコマ図には原則として制限速度変更地点がすべて載っています。海外ラリーと言えど、Special Stage以外は遵法運転をしなくてはならないので、これを目安に制限速度を守る必要があります。
また、Special Stage近辺の写真、Service pointの図面も載っています。
ロードブック、その2
SS部分のコマ図の先頭にはこのようなページが入っています。
SS名、距離、他
過去のレコードタイム
SS直前のTCSSスタート
SSゴールSS停止ライン
ロードブック、その3
サービスポイントの図面もRoad Bookに入っています。
AG.MSCさんのラリーのコマ図はほとんどこれと同じです。さすがに国際ラリーの開催を目指しているという感じですね。
Road Section
俗に言う「つなぎ」です。
SSとSSの間、SSとサービスポイントやスタート、Parc fermeの間の区間ですね。ただし、国内ラリーのようにゆっくりではありません。特に片側がスタート、ゴール、Parc fermeの区間で指示されるアベ(平均速度)は70km/h位になる事があります。もちろんこの区間も競技区間ですから計時されています。制限速度が100km/hなので当然と言えば当然なのです。しかし走行順が後の方だった場合、最終SS後にトップドライバーの走りを見終って帰ってしまう観客の渋滞に巻き込まれて真っ青になる事があります。
Stage
ステージ。
幾つかのTime ControlとSpecial Stageが合わさって1Stageが構成されています。多くの場合、Stageの最後にはServiceがあります。
1つ以上のStageによりLegが構成されます。
Srarting Order
スターティング・オーダー。
海外ラリーの場合、各Legごとに、スタート順が変わります。そのLegのStarting Orderは前のLegまでの順位順となります。したがって1Legが終了するごとに、次のLegのStarting Orderを確認し、次のLegをスタートします。
Restart listという形で発表されます。一般に1日が1Legであることから、発表は夜です。
TC Card
日本で言うチェックカード、計時された時間を記録するカードです。
上の部分は、リングで閉じてあり、3枚複写の冊子になっています。1枚はTCでオフィシャルが回収、1枚は控えとして渡され、1枚は冊子に閉じられたまま残され、各stageの終わりでオフィシャルが回収します。
ターゲットタイムがあらかじめ記載されているので、自分でTCに入る秒を書き込み、TCについたらその時刻に合わせて提出します。
図の二枚目は、前のTCがSSスタートだった場合のものです。海外ラリーでは与えられるターゲットタイムはSSスタートからのものなので、このように一枚のTCカードにSSスタート、ゴール、次のTCのタイムが記入されるようになっています。
TCカード 1TCカード 2
Time Control
タイムコントロール。TC。
計時を行なう場所。日本で言うところのCP(チェックポイント)です。ただし、決定的な違いはTCの場所がRoad bookに記載されて、事前にわかっていると言う事、そして基本的にTarget timeがTCからTCの時間ということです。ただしSSゴールはTCではないということに注意が必要です。これが意味する事は、SSの所要時間もTarget Timeに含まれる、すなわちSSで時間がかかればRoad Sectionで取り戻さなくてはならない、ということです。
一般にTCでは計時用の時計が競技者に対して掲示されていて、Co-driverが計時員の所に行き、その時計を見ながら予定時刻になったら車両をTCに誘導し、TCカードを提出し時刻を記入してもらいます。ですから、通常TCで減点を食う事はほとんどありません。
Workshop
ワークショップ。
New Zealand側で、日本から来た車の受け入れ、事前のメインテナンス、およびその場所の提供、日本への車の送り出しをやってくれるところです。今回は完全なボランティアでやってくれました。さらに我々のチームを、そこの関係者の2人がボランティアでメカニックとして手伝ってくれました。Brian、Robert、ありがとう。彼らは大変優秀なメカニックで、我々のチーフメカニック嶋村とビールをかけたストラット交換競争をやって、打ち負かすほどです。嶋村氏の名誉のために付け加えておきますが、彼も非常に優秀なメカニックです。なんて言ったって元某ワークスのWRCメカニックですから。